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ダイベスト最前線

世界最高峰の機関が続々とダイベストメントを公表

ここ2年間で状況が大きく変わり、業界内でのリーダーシップを発揮すべく、世界でもっとも影響力のある著名機関もダイベストメントに取り組むようになりました。

これら機関はダイベストメントを実施するだけではなく、投資撤退の「表明」をすることで、世界中でトップニュースとして報じられ、気候に関する政策協議を前進させています。

近年の、世界の主なダイベストメント

ハーバード大学

ハーバード大学は、米国マサチューセッツ州ケンブリッジにある私立大学。アイビーリーグのなかでもビッグスリーのメンバーです。 植民地時代のマサチューセッツ州議会によって1636年に設立されたハーバードは、米国で最も古い高等教育機関です。

ハーバード大学は、アメリカ合衆国のマサチューセッツ州ボストン近郊のケンブリッジに建てられた私立大学。 アイビー・リーグの中でも特に伝統のあるビッグスリーの1つで、イギリス植民地時代の1636年に設置されたアメリカ最古の大学である。PHOTO / Jorge Salcedo

世界一資産力のある大学、ハーバード大学は、およそ10年にわたる学生アクティビストや卒業生、教職員による働きかけに押され、420億ドル規模の大学基金について、化石燃料投資をほぼ完全に引き上げたこと、また今後石炭・石油・ガスへの投資を、一切禁止することを公表

ほどなくして同じアイビーリーグのダートマス大学もダイベストメントを表明した。なお、ダイベストメント・キャンペーンは、ブラウン大学、コロンビア大学、コーネル大学を含む、ほかのアイビーリーグ名門校においても進められている。(LINK1LINK2LINK3

ラ・バンク・ポスタル(フランスの郵便貯金銀行)

フランス郵便公社の子会社銀行「ラ・バンク・ポスタル(La Banque Postale」(資産額894億ドル)は2021年10月、2030年までにすべての石油・ガス会社から投資を引き上げると表明

その際、「従来型か非従来型かにかかわらず化石燃料を生産する企業、生産のあらゆる段階に携わる企業、化石燃料産業のインフラ開発に携わる企業、そして石油・ガス業界のためロビー活動を行う企業」への金融サービスを提供しないと延べた。

フォード財団

世界最大の慈善団体のひとつで、資産170億ドルのフォード財団による投資撤退表明は、そのレガシーゆえ、大きな影響力を伴うものであった。同財団は2021年10月、「化石燃料関連の産業には一切投資しない」こと、また「自然エネルギー経済を支える十分な強さと多様性を備えた投資先を見つける」ことを約束。(LINK

ケベック州貯蓄投資公庫

ケベック州貯蓄投資公庫(CDPQは、カナダ第2位の年金基金で、その資産額は3,070億ドル超。2021年9月、すべての石油投資から撤退すると公表。これについてトロント・スター紙は、「今後カナダの石油・ガス生産会社にとって、新たな油田開発やオイルサンド事業のための資金調達は厳しくなるだろう」と報じた。(LINK

カナダのオイルサンド埋蔵量が世界最大であることを踏まえると、大きな進展である。また同年金基金は、自然エネルギーに100億ドルの投資を表明、モントリオールの路面電車など、持続可能なインフラ事業への投資を増やしている。

オランダ年金基金

オランダの年金基金、PME(資産額710億ドル)は2021年9月、化石燃料投資から撤退したことを公表。ダイベストメントを完了したオランダ初の年金基金となった。担当ファンド・マネージャーらによると、手続きにかかった時間はわずか6週間で、ポートフォリオ全体に何も影響がなかった。

ニューヨーク州

米国でもっとも影響力ある年金基金最大手、ニューヨーク州退職年金基金(資産額2,650億ドル)は、2020年および2021年、ダイベストメントに向けた重要な一歩を踏み出した。

2020年12月、ニューヨーク州のトーマス・ディナポリ会計監査官は、同基金が2024年までにもっともリスクの高い化石燃料への投資を打ち切り、2040年までに投資ポートフォリオ全体においてゼロエミッションを達成すると表明。

2021年4月、北米の州年金基金として初めて、オイルサンド企業から投資を引き上げた。また同年金基金は、気候ソリューションへの投資額を200億ドルに倍増させることを誓った。

オックスフォード大学・ケンブリッジ大学

世界でもっとも歴史ある名門大学、オックスフォード大学とケンブリッジ大学では、およそ10年にわたり、卒業生や教職員、学生たちが化石燃料からの投資撤退を求め、地道にそして創意工夫にあふれる方法で働きかけ続けてきた。

2020年、両大学は、そのプレッシャーに押される形で、それぞれ41億ドル48億ドルの大学基金についてダイベストメントすることを表明。

ロックフェラー財団

かの有名なスタンダード・オイル社のジョン・D・ロックフェラーが設立した財団(資産50億ドル)は、2020年12月、全ての化石燃料から完全に撤退したうえ、自然エネルギー経済への公正な移行のために投資することを表明。

遡ること2014年、ダイベストメントを宣言し、初期の段階でこのムーブメントのリーダー的存在となった姉妹財団のロックフェラー兄弟財団、ならびに2016年に宣言たしロックフェラー・ファミリー財団に加わった。

メイン州

2021年6月、米国のメイン州は、州の財務および年金基金について法的に投資撤退を命じる、北米初の自治体となった。

この法律は、自然保護団体「シエラ・クラブ(Sierra Club)」や「気候正義求めるメイン州の若者たち(Maine Youth for Climate Justice)」、「350 Maine」といった草の根団体や若手活動家による、長年のキャンペーンを経て可決された。

同法では、170億ドルの州の年金基金と財務について、そのうちの13億ドル以上を2026年までに化石燃料から撤退させるよう指示している。法案の共同提唱者のひとり、クロエ・マックスミン(Chloe Maxmin)上院議員は、ハーバード大学の投資撤退を成功させたキャンペーンの共同提唱者でもある。(LINK

ボルティモア市

ボルティモア市の3つの年金基金は、2021年10月の市長承認を受け、来年からダイベストメントを開始しなければならない。

今後5年間で、ボルチモア市消防・警察職員退職金制度(資産35億ドル)、ボルチモア市職員退職金制度(22億ドル)、ボルチモア選管退職金制度(3100万ドル)は、石炭埋蔵量上位100社と石油・ガス埋蔵量上位100社の保有株をすべて手放すことが求められる。(LINK

ボルティモア市が石油や天然ガスの主要輸出入拠点に近いことを踏まえると、この措置は非常に重要である。(LINK

ニューヨーク市

2018年の市のダイベストメント宣言を実行に移すべく、市議会は2021年、ニューヨーク市職員退職金制度(資産870億ドル)、ニューヨーク市教員退職金制度(資産1022億ドル)、ニューヨーク市教育委員会退職金制度(資産88億ドル)が、2022年までに40億ドルを化石燃料から引き上げることを決定。(LINK1LINK2

またニューヨーク市長は2021年、2040年までに実質排出量ゼロを達成し、2035年までに500億ドルを気候ソリューションに投資するため、年金基金の資金を移動させる目標を発表した。

さらにニューヨーク市の会計監査官は、市の年金基金を代表し、元エクソンCEOのリー・レイモンド氏を、JPモルガン・チェースの取締役から解任するよう働きかけ、成功させた。(LINK1LINK2

ロンドン市

ロンドンは2021年、化石燃料投資の削減に向けたコミットメントを再確認したうえ、その取り組みを強化した。同時に、ロンドン年金基金局(LPFA/資産91億ドル)は、2021年3月時点で、上場企業への投資のうち、化石燃料企業への投資は0.6%に減少させている。

2021年9月、LPFA2050年までに実質排出量ゼロを達成すること、また近日中に2030年の中間目標を策定することを表明した。

C40ダイベスト・インベスト・フォーラム

化石燃料から投資を引き上げ、気候ソリューションに投資する都市を増やすことを目指す都市間ネットワーク「世界大都市気候先導グループ(C40)」のダイベスト・インベスト・フォーラムを主導するのは、ニューヨークとロンドン。

2021年9月の時点で、住民4,300万人以上かつ年金資産3,600億ドル以上を代表する都市が、「化石燃料からの投資撤退と、持続可能な未来への投資宣言」に署名。それぞれの年金基金に今すぐダイベスト・インベスト戦略を導入することを表明している。

これら都市の中には、オークランド、ベルリン、ブリストル、ケープタウン、コペンハーゲン、ダーバン(eThekwini)、ロサンゼルス、ミラノ、ニューオリンズ、オスロ、パリ、ピッツバーグ、シアトル、バンクーバー、ならびにフォーラム共同議長のニューヨークおよびロンドンが含まれる。(LINK

カリフォルニア大学

世界最大の大学のひとつで、28万5,000人の学生を抱えるカリフォルニア大学は、米国最大級の大学基金、年金基金、運用資産を有する。

同大学は2020年、ダイベストメントを完了。1,250億ドル相当の資産のうち、10億ドル相当の化石燃料企業株を売却したことを発表した。さらに気候ソリューションへの投資額を、即なくとも10億ドル増加させることも表明している。

カトリック教会

2021年のバチカン公式声明では、化石燃料株を手放すよう世界中のカトリック教徒の投資家に呼びかけた。ラウダート・シ(Laudato Si’ Movement)運動(旧グローバル・カトリック気候運動)による活動のおかげで、司教協議会、修道会、カトリック系大学、寄付機関をはじめとした、世界中のカトリック機関250以上が投資を撤退させた。

マッカーサー財団

「天才賞」と呼ばれる助成金制度「マッカーサー・フェロー」で世界的に知られる、マッカーサー財団は2021年9月、資産80億ドルの同財団の化石燃料株を手放すことを表明、この種の表明を行う米国最大規模の財団となった。この決定の背景について、同財団は、助成金と投資の整合性を求める声があったことを認めている。

大手保険会社

この2年間、世界最大の投資家である、グローバル保険大手は、大規模ダイベストメントを新たに表明、もしくは既存のダイベストメント宣言を強化、金融への大きなインパクトをもたらした。

ドイツに拠点を置くアリアンツ社は2021年5月、社の指針を更新し、石炭を除外した。香港に拠点を置くAIAグループは2021年、石炭投資から撤退する アジア初の保険会社となった。(LINK

メットライフ生命保険は2020年6月、ポートフォリオから石炭およびオイルサインドを除外、ダイベストメントした米国初の大手生命保険会社となった。(LINK) オートストラリアに拠点を置くサンコープ社も2020年、石油・ガスからダイベストメントする指針を採択。これら4社の運用資産は、総額2兆1,300億ドルを上回る。

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