ダイベストメントは、原発の息の根を止める運動

河合弘之(『日本と再生』監督・弁護士)

第8回目のダイベスト・ストーリーは、弁護士であり、映画監督でもある河合弘之さん。河合さんは、福島第一原発事故以降、全国各地での原発差し止め訴訟や、被ばく被害者の側に立った訴訟を弁護し続けています。 しかし国民のエネルギーに対する関心の低さや電力会社と国の癒着関係から、原発問題の解決の難しさを実感したそう。

そこで、もっと多くの人に原発問題を深く理解してほしいとの思いから、自ら監督を務め「日本と原発 私たちは原発で幸せですか?」「日本と原発 4年後」「日本と再生」三作の映画を制作するに至りました。現在「日本と原発 4年後」は全国で1,800回以上も自主上映され、約11万人が鑑賞しています。新作の「日本と再生」もすでに600回以上の上映会が行われました。

先日350 JapanMamademo共催の「日本と再生」上映会でご登壇いただき、すぐさまダイベストメントを実行してくださった河合さん。「お金というのは経済の血。ダイベストメントは原発の息の根を止める運動」だと話す、河合さんのダイベスト・ストーリーをご紹介します。


Q、地球にやさしい銀行に口座をつくろうと思ったきっかけは何でしょうか?

金融機関は、原発を推進し自然エネルギーを妨げている産業又は事業会社に対する融資というかたちで、原発推進や自然エネルギーの妨害というのを助けているわけです。だから、その兵糧を止めるもとになっているお金を止めるということによって、原発再稼動を止め、自然エネルギーの推進を図るという、間接的ではあるけれど、全経済的なスケールの大きい闘いなのがダイベストメント。僕はそこに価値を感じています。これは一種の銀行に対する不買運動なんですよね。

Q、どの口座をどの銀行に替えたのですか? その銀行を選んだ理由も併せて教えてください。

某メガバンクから城南信用金庫に変えました。城南信用金庫は、自然エネルギー事業に対して非常に積極的に融資をしているからです。ただ融資するだけではなくて、例えばソーラーシェアリングといって、営農型、農業をやりながら自然エネルギーができるというような、新しい太陽光のシステムなんかに非常に力を入れているというのを見て、これは社会的に意義があると思って、某メガバンクからかなりのお金を移しました。

Q、銀行へ伝えたいメッセージはありますか?

銀行は預金者を守るだけではなくて、社会を守らなければいけないんだということを自覚してほしい。ダイベストメントは、そのための重要な運動です。関連企業は銀行からの資金がストップされることがこわいし、銀行も不人気になりたくないわけで、再検討するようになるのでは。ダイベストメントは間接的ではあるが、スケールも効果も大きいので、経済行動を利用した脱原発行動になることを期待します。

Q、読者へのメッセージと今後の活動について。

電力会社が原発を再稼動しようとしていることの極めて大きな理由は、100%とは言いませんが、銀行からの圧力です。銀行は、建前として預金者の保護や株主に対する忠実義務として、貸したお金は必ず返してもらう必要があるんだ、利息も払ってもらう必要があるんだと言っています。

そのためには目の前の収益を上げてもらわなければならない。そのために原発を再稼動してもらわなければならない。ということで、大変な圧力をかけているのです。だから、原発再稼動の非常に大きな責任は、金融機関にあると思います。そういう意味で、金融機関は目に見えないところで大変社会に害悪を促すような仕事をしていると言っても差し支えないと思います。

そういった理由で、銀行は脱原発を妨げている。脱原発や自然エネルギーに力を入れたいと思っている人は、化石燃料にしがみついているメガバンクにお金を預けるのではなくて、自然エネルギーに力を入れていて、また原発推進に関与していないような銀行にお金を預けるべきだと思います。

室内展示写真/樋口健二報道写真家

河合弘之(かわいひろゆき)

http://lawyer-kawai.com/profile

1944年旧満州生まれ。東京大学法学部卒業。さくら共同法律事務所所長。

浜岡原発差止訴訟弁護団長、大間原発差止訴訟弁護団共同代表、脱原発弁護団全国連絡会共同代表、3・11甲状腺がん子ども基金理事、ヒロシマ被爆者団体員、認定NPO法人高木仁三郎市民科学基金代表理事、中国残留孤児の国籍取得を支援する会会長、フィリピン日系人リーガルサポートセンター代表理事、環境エネルギー政策研究所監事。代表作に大下英治『逆襲弁護士 河合弘之』さくら舎 (2013)、『原発訴訟が社会を変える』集英社新書 (2015)、映画「日本と原発 私たちは原発で幸せですか?(2014)」「日本と原発 4年後(2015)」「日本と再生(2017)」などがある。

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