人と人のつながりが運動を強くする:G7広島サミットを振り返って

みなさんこんにちは、350 JapanのHanaeです!

日々、350 Japanは、気候危機の解決に向けて、政府や企業に対してアクションをしたり、世界のアクティビストと協力して気候危機を訴えるキャンペーンをしたりしています。

こういった活動は、スタッフだけでなく、学校や会社に通いながら気候アクションにも関わるボランティアさん(350クルーさん)がいなければできません。人種差別撤廃やジェンダー平等といった歴史を振り返っても、行動する市民の力(=ピープル・パワー)こそが、社会の変化を生み出してきました。

そんな350の心強いクルーの皆さんがどんな想いで活動しているのかを5月に開催された広島G7へのアクションを振り返りながら聞いてみます!

参加メンバー(あいうえお順)

あやこ

350中四国ネットワークとSustaining All Lifeで活動中。350 Japanの気候変動基礎クラスの講師も務める。

こだま

Fridays For Future Sapporo(FFF Sapporo)のオーガナイザー。2021年9月ごろからFFFに参加し、現在は北海道十勝の高校に通う。

たっちゃん

おひさまネットワーク倉敷を11年前に設立。気候変動問題に余生をかける。おかやまいっぽん共同代表を担い、憲法を生かして平和と人権、環境、いのちと暮らしを守る政治への転換を目指す市民運動に奮闘している。中日ドラゴンズ命です。

はるか

NPO法人コミュニティ・オーガナイジング・ジャパンの気候オーガナイザープログラムのスタッフ。大学時代に人種やジェンダーの運動に関わった経験があり、気候危機も次の世代やグローバルサウスに負担が押し付けられているパワーの不均衡の問題であることに気づき、運動を起こしたい人たちにチームビルディングや戦略立案などにおけるコーチングを提供すべく、日々勉強中。

ようへい

大学2年生、FFFFukuokaのオーガナイザーとして九州を中心に活動中。喋ってるとたまに声のトーンがめっちゃ高くなります(笑)

ファシリテーター:
リサ

350 Japanオーガナイザー。気候危機問題の解決のために声をあげ、行動する人のムーブメントをつくりあげていく「オーガナイジング」を担当。G7の際も350クルーさんと共に、アクションを考えた。

まず始めに、なぜ今回のG7アクションに参加しようと思ったか聞かせてください!

はるか:私は、今回のG7アクションでこいのぼりアクションをリードしたんですけど、実は今回が初めて自分で1から企画したアクションだったんです!はじめ、オーガナイザーのリサさんに誘われて、参加しやすいアクションに協力するつもりだったんですけど、ミーティングで他のクルーと話しているうちに思い描くアクションが自分と一緒のメンバーとつながれたんです。それで、1人だったら難しいけど、2人だったら実際に企画が実現できると思って、「誰でも気軽に参加できる」こいのぼりアクションを企画しました。

*こいのぼりアクション:活動を続ける中で自分が大事にしていることや大事にしたいことを折り紙のこいのぼりに書いて飾って、参加者同士が話す場を設けたアクション。(左:ありさ、下:はるか、右:リサ)

リサ:一人じゃ難しくても、仲間を見つけることで実現できた、みんなでつくってるムーブメントだからこそ生まれた素敵なアクションでした。綾子さんも確か初めて自分でアクションを企画しましたよね?

あやこ:はい、私は広島に住んでいるので、広島のアクションだったら自分も参加したい!と思いつつ、どれだけ時間が割けるか、本当に自分で企画ができるのか、不安でした。でも、事前にあった他の活動家との交流会を通していろんな方とつながることができて、他団体と協力してアクションを企画することができました。当日は遠方から参加してくれる人もいたり、人とのつながりがあってこそだなと実感できました。

たっちゃん:私は逆に、毎年やってるから今年もやろうという流れでG7のアクションをやりました。私がアクションを企画した岡山県の倉敷ではG7労働大臣会合が行われてたので、様々な課題が議論されるG7だからこそ他の運動と連携できるんじゃないかと思って、今年は「暑くて仕事ができない」など、労働の視点と絡めて労働組合と協力しながらアクションを企画しました。労働組合だけじゃなくて、地元の学校と協力してアクションを盛り上げるためのダンスや、普段反原発を訴えるバンドと歌を歌ったりして、楽しいアクションでした。

ようへい:僕は広島と福岡のアクションに関わったんですけど、いろんな地域から参加してくれる人がいて、いろいろな人が参加するからこそたくさんの個性がにじみ出る面白いアクションになりました。去年エジプトで行われたCOP27に参加した経験があるんですけど、その時はアクションに参加するだけだった自分が、今回は自分からアクションを考える立場に成長できててよかったです。初めはG7アクションの予定があったのは札幌と広島の2地域だけだったんですけど、それが広がっていったのはオーガナイザーのリサさんの力が大きかったと思ってます。

リサ:いろいろな問題が気候変動とつながっているからこそ広がりましたよね。そこをつなげるようなアクションを今回たくさん実現できて、運動が広がっていくのに関わるのが楽しったです!

 
G7アクションをやってみて1番楽しかったことは何でしたか?

こだま:私は北海道でハンガーストライキを行ったんですけど、ハンガーストライキ中は、本当に身体的に辛かったんです。それでもそんな中、応援のメッセージがたくさん届いたり、一緒にハンガーストライキを行ってる人と支えあったりするのが楽しくて、精神的な辛さはなかったんですよね。あんまり話したことがない学校の友達にも応援してもらったのも想定外で、嬉しい驚きが多かったです。あと、G7だからこそ色々な活動家とつながることができて、今までなかったようなパワフルな雰囲気で進められたのも新鮮で楽しかったです。

たっちゃん:私は倉敷から広島まで白熊の衣装を着て向かったんですけど、蒸し暑い上に雨が降って、新幹線の中で汗だくだったんです… 色々な人に怪しまれるかなって思って現地に着いたらみんなに「かわいい〜!」と衣装をほめられたのがいい思い出です。笑

リサ:アクション現場に遠くの方から白熊*が歩いてきてて、可愛かったです。笑

 

G7アクションで1番大変なことは何でしたか?

はるか:こいのぼりアクションは2人で進めたんですけど、少人数だと進めやすい分、大変になる部分も結構あって…時間がない中、早く進めたい気持ちが前に出ちゃうと、人に「頼る」というのが結構難しかったですね。負担が2人に集中しちゃって。

あやこ:私は現場に人を集めるのに苦戦しました。広島でのG7アクション前は40人くらい広島から参加する可能性があったんですけど、実際アクション当日に蓋を開けてみたら広島からの参加者は思ったより少なくて。やっぱり声を上げることに抵抗感のある人が多いのかなって少し残念に思いました。

リサ:実際、こうやってオーガナイズ、人と人のつながりを作ってムーブメントを実現していく、ことって難しいですよね。うまくいかないことも多いと思うんですけど、そういう時も自分たちには力があるってことを見失わずにみんなで支え合って協力していくことって大事ですよね。

こだま:そうですね。私もはるかさんが言ってた「人に頼る」って部分が大変でした。でも自分一人じゃ何もできないし、これからのアクションはみんなが自分の得意分野を活かしてアクションに関われるようにしたいなって思いました。

はるか:私も同じです!

リサ:私も人に頼るのがあまり得意じゃなくて、でも今回のアクションでみんなに頼って、みんなの良さが出るアクションがたくさんあって、活動のネットワークが広がったのがとてもよかったです。

ようへい:僕も、今回いろんな人がG7アクションの拡散と連携に協力してくれて、運動がシャボン玉みたいに広がっていったのが楽しかったです。それでも、自分の身近な友人や知人を巻き込むのはまだまだ難しいなと感じましたね。

たっちゃん:私はアクション用のダンスや歌を覚えるのが大変でした、笑。でも最後にみんなで一体感を出せたのが楽しかったですね。

あやこ:大変だった分、よかったなって感じる部分もあって、350クルーと広島の市民団体をつなげることができて、仲間づくりの種まきを前から行ってたんですけど、今回のG7アクションでまいた種の芽が出たように感じて、諦めずに続けててよかった!って思いました。

リサ:そうでしたね、あやこは私が350に加わるずっと前から種まきしてましたから、本当に大活躍!

 

最後に一言!

はるか:こいのぼりアクションを通して、数をたくさん集めるのも大事だけど、対話する機会を増やすことの大切さを改めて実感できました。メディアに取り上げられることも大事なんですけど、もっと大事なのは人とのつながりだったなって、こういったつながりを強化できるアクションはこれからも続けたいですね。

リサ:数には表せないピープルパワーが対話を通して生まれましたよね。

あやこ:私は今年で50歳になるんですけど、気候変動の活動って若者が注目されがちで、「若者頑張れ!」みたいなスタンスがある気がするんですよね。でもそうじゃなくて、私たち大人も、みんなで頑張ろうよ!って思いますね。気候変動に影響されない人って誰一人もいないと思うので、やれる人がみんなやるしかないんです。私自身も人生を賭けてこれからも運動をつくっていきたいですね。

ようへい:今回のG7アクションが次のアクション、また次のアクションって、つながって広がっていくのが楽しみです。

リサ:ほんとに種まきですよね、今すぐは出なくても夏には芽が出るかもですし。

こだま:アクションの企画でたくさんの学びを得たので、今後の運動をもっと効果的にしていきたいと思います。それと、実は私、演劇もやってて、今回のアクションは演劇の幅が広がるような機会にもなったと思いました。

たっちゃん:私は今回のアクションを通して、リサさんとか綾子さんとか、今までつながってなかった人とつながれたのが1番嬉しかったです。運動を進めていく中で先が暗いなって感じる時もあるんですけど、あらかじめストーリーがあるのはつまらないし、先が見えないからこそ、あきらめずにチャレンジし続けたいなって思えました。1.5度*を守るためにやらないといけないことをこれからの人生を通しても闘い続けたいなって思います。

リサ:うん、先が真っ暗でも進み続けてみんなが希望を持てる未来を作り続けたいですよね。今回いい話がたくさん聞けて嬉しかったです。

初めは小さかった雪だるまが、みんなのアクションを通してどんどん大きな雪だるまになっていって、つながって協力する「ピープル・パワー」を実感できました。これからももっとパワーアップしてやっていきたいですね!

編集後記(髙橋英江)

今回の座談会でクルーの皆さんとG7アクションを振り返ってみて、やっぱり、人と人のつながりがあってこそ運動が広がるんだと実感できました!この記事を読んでくださったみなさんにもそう感じてもらえたら、そして運動に加わるきっかけのひとつになったら嬉しいです。

350 Japanでは、気候危機の解決に向けてアクションを起こしたいクルー(ボランティア)を募集しています!日本全国各地から、そして海外からでも、どんな年齢でも、参加できます。仲間と一緒に気候危機に立ち向かいたい方は、ぜひクルー登録を!詳しくは、こちらからご覧ください。

また、350クルーの講師による、「気候変動基礎クラス」も随時開催しています。無料で気候変動の基礎知識と、それに対してどんなアクションができるかが学べる、計6時間のクラスです。こちらは、クルー登録してくれた方に優先的に案内が届きます。詳しくはこちらのページをご覧ください

350 Japanの活動やアクションに興味のある方、この記事についてご質問や感想などある方は、オーガナイザーのリサ risa.iizuka@350.org までお気軽にご連絡ください。

 

1.5度*
世界の平均気温上昇を産業革命前と比べて1.5℃未満に抑え、気候変動による災害を可能な限り抑えることを目標とした数値。気候変動に関する国際条約「パリ協定」に盛り込まれている。

白熊*
ホッキョクグマのこと。気候変動の影響もあって、ホッキョクグマは2100年までに絶滅する恐れがあると言われている。

 

執筆:350 Japan広報担当:髙橋英江

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