350.org事務局長 メイ・ブービィからのメッセージ

「350.orgと歩んだ気候正義の旅、ここから希望に満ちた未来へ」

いま、350.orgが目指しているのは、(気候危機の原因となる)化石燃料をこれ以上掘り出さない、全ての人が100%再生可能エネルギーで暮らせる未来です。

そんな未来を思い描きながら、今日は晴れやかな気持ちでみなさんにお知らせします。団体の設立から13年間、国際環境NGOの350.orgの事務局長として舵をとっていた私ですが、その職位を離れ、次の世代にそのポジションを任せる時がやって来ました。

350.orgで過ごした時間は、私にとって希望と誇りに満ちたもので、振り返ると胸がいっぱいになります。

このすばらしい団体のリーダーを勤めた時間は、単なる仕事ではなく、私の人生にとってかけがえのない時間です。

気候正義を求めてきた私たちの道のりには、数え切れないほどの「勝利」がありました。小さい勝利、大きい勝利、どれも気候ムーブメントの次の展開には欠かせない、大事な一歩でした。

全てを書き出すことはできませんが、みなさんと一緒に成し遂げた勝利のいくつかを共有させてください。

1. 世界規模のダイベストメント・ムーブメント

「投資=インベストメント」とは逆に、投資の取りやめ、化石燃料へのお金の流れを変えることをめざす「ダイベストメント」の活動はキャンペーンとして始まりました。その後、世界中へと広がったダイベストメント・ムーブメントの結果、1300もの機関による「ダイベストメント宣言」を実現させ、合計40兆5000億ドルもの巨額のお金を化石燃料産業から切り離しました。このムーブメントは「投資」、特に気候危機の文脈での、お金の使い方やその責任の基準を大きく変化させました。

2. 米国のキーストーンXLパイプラインへの抗議:10年間にわたる運動、あきらめずに抵抗し続けた草の根の活動があったからこそ、巨大な石油パイプラインの計画を中止させることができました。気候正義を求める運動にとって、重要な一歩だったと思います。

3. 気候マーチ:2014年9月、歴史上一番大きな世界規模の気候マーチの実現をサポートしました。ニューヨークでは40万人もの人々が集まりました。そして集まった市民の声によって、気候危機対策の緊急性が伝わり、多くの国際会議や条約交渉の場に影響を与えることができました。

4. だれも取り残さないグローバル・ムーブメントの構築:世界的なダイベストメントムーブメントを広げていくなかで、350.orgは、気候変動対策において軽視され、取り残されてしまいがちなマイノリティの人々の声が尊重されるよう、活動してきました。

5.化石燃料企業に対抗するための活動:オーストラリアからブラジル、アメリカまで、大量の二酸化炭素を放出する化石燃料企業の石炭、石油、化石ガスの発電所・開発の多くを中止に追い込むことに成功してきました。

これらの社会の変化は、私の心に大きく響いています。みなさんと一緒だったからこそ、達成できたことです。

私だけではなく、活動家、ボランティア、そしてどんな形でも関わってくれた全ての人のたちが勝ち取った成果です。そして、私たちが一緒に行動すれば、持続可能な社会は実現できるという証拠でもあります。

今、私は2024年9月の退任に向けて、感謝と希望でいっぱいです。みなさんとつくりあげてきた絆はとても強いものです。私の次に新事務局長として350.orgの舵をとるリーダーも、再生可能エネルギーの未来をめざす、大切な仲間になることでしょう。

350.orgは今、次の新たな章へと進もうとしています。

私たちのキャンペーンは、地球規模での再生可能エネルギーへの移行をはじめとし、これからも大きく広がっていく予定です。前例にとらわれないビジョンがあるだけでなく、私たちの未来に向けて挑戦的な計画を進めることのできる、新しいリーダーに出会えることを願っています。これまでの私たちの気候ムーブメントの成果を、さらにより一層大きく飛躍させましょう。

今まで一緒に活動してくださり、ありがとうございました。これまで私たちを導いてくれたのと同じ勇気と熱意を持ち続け、これからも前進していきましょう。

メイ・ブービィ
国際環境NGO 350.org事務局長

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