第二回目は、放送作家であり京都造形芸術大学教授でもある谷崎テトラさん。
25年間放送作家のお仕事を続けてきたテトラさんは、1997年に開催された気候変動の枠組みについて協議する京都会議(COP3)の取材の際に、気候変動が危機的状況になっていること、それが多くの人に伝わっていないことに衝撃を受けます。そしてそれを伝えることに使命を感じたことから、俳優伊勢谷友介さんとInter FM 「KAI Presents EARTH RADIO」を制作するなど、今日まで20年間に渡って環境番組を制作されてきました。
さらに、メディアを通して情報を伝えるだけでなく、温暖化を防止するNPO団体やEarth Day Tokyo、Be Good Cafeなどの環境活動にも参加されています。
2005年の愛・地球博から起きたエコブームやロハスブームで、環境活動に参加する企業が増えたり、多くの人々がエコなライフスタイルにシフトしていくといったことも至るところで起きました。しかし、一向に地球環境が改善されない状況が続きました。
そのような状況のなか、環境問題の大きな要因は経済にあり、抜本的な経済改革とともに、社会の仕組み・教育・民主主義を基盤とした文明そのものを転換する必要性を感じたテトラさんは、2012年にワールドシフトネットワークジャパンを立ち上げました。
今回は、そのようなさまざまなアプローチで環境問題や社会問題を発信している、谷崎テトラさんのダイベストメントパーソナルストーリーをご紹介します。
Q、地球にやさしい銀行に口座をつくろうと思ったきっかけは何でしょうか?
人類の文明が持続不可能である理由が100以上あると言われているほど、世界は危機的状況に置かれています。経済の仕組みを根本的に変えないと、今の奪い合いの資本主義は少々良いことをする程度では変わりません。そのためには、人々のお金の動きを変えないといけません。
僕は平和運動にも参加しているのですが、これもお金の使い方によって良い方向に変えることができると思っています。化石燃料を促進する企業や軍事産業に融資している銀行に資金を流さないことです。こういった企業活動は、単純に儲かるという理由で行われていますが、平和実現のためにはこれを変えないといけません。そこで僕は、良い投融資をしている銀行を応援するという意味で、新たに口座を開設しました。
Q、今回はどの口座をどの銀行に替えたのですか?その銀行を選んだ理由も併せて教えてください。
僕の会社もメイン口座は大手銀行だったのですが、3年前にワールドシフトやパラダイムシフトを学ぶ学校『テトラゼミ』を始める時に、ダイベストメントの考え方に従った銀行を開きました。僕は、脱原発を掲げていたり、市民発電を応援している『城南信用金庫』に口座をつくらせてもらいました。ここは、農業を自然エネルギーで賄う「ソーラーシェアリング」にも力を入れています。
Q、変えてみてどうでしたか?
変える前に銀行を調べることで、「人を大切にする、思いやりを大切にする」という、お金よりも人を大切にするという理念を持って活動していることがわかりましたし、実際に関わっている人の顔も見えてよかったなと思いました。
Q、口座をつくるのに、どれくらいの時間を要しましたか?
新しく口座を開くのはすぐできました。アプリをダウンロードし、そこからでも口座開設できるようです。
Q、口座をつくるプロセスの中で特に難しいと感じたことはありますか?
口座を開設するのはそこまで難しいことではなかったです。強いて言えば、クライアントとのお金のやりとりの際に説明することなどでしょうか。多くの人が違うライフスタイルをしているなかで、環境にいいことをしようとすると、良いことなのに理解されるまでに時間がかかってしまうように感じています。
Q、銀行へ伝えたいメッセージはありますか?
お金の流れが社会を変えます。ぜひ地球の未来に投資して欲しいと思います。
谷崎テトラ
京都造形芸術大学教授/放送作家 1964年生まれ。ワールドシフトネットワークジャパン代表理事。環境・平和・社会貢献・フェアトレードなどをテーマにしたTV、ラジオ番組、出版を企画・構成するかたわら、新しい価値観(パラダイムシフト)や、持続可能な社会の転換(ワールドシフト)の 発信者&コーディネーターとして活動中。リオ+20など国際会議のNGO参加・運営・社会提言に関わるなど、持続可能な社会システムに関して深い知見を持つ。
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取材協力:shiny owl cafe