ダイベストメントで地球を守る人を支える選択を

前田剛(メイド・イン・アース代表)

オーガニックコットンに携わって24年。オーガニックコットンの素晴らしさを世のなかに広めたい、たくさんの人に届けたいと思ったことが最初だったと話すのは、「メイド・イン・アース」代表である、前田 剛(まえだ つよし)さん。

私たちの選択が、誰かの命を脅かしているかもしれない

一般的に扱われているコットン製品は、栽培から製品に至るまで、化学殺虫剤、落葉剤、成長抑制剤、漂白剤、柔軟剤といった、さまざまな化学薬品を大量に使っていることから、水・空気・土といった環境を汚染する原因のひとつになっています。

世界中にある耕作地の「約2%」を占めるコットンは、全世界で使用されている殺虫剤の総量のうち「約16%」も使っていると言われています。

さらに、こういったコットンを育てている農家さんは、ほとんどが貧困層の人たち。コットンの主な生産地であるインドなどの途上国は、識字率も低く、高価なものを売りつけられたり、正しい扱い方がわからなかったりすることから、農家さんだけでなく周辺住民たちの健康被害を生み出したり、借金苦から自殺問題へと発展しているケースもあります。

地球にも人にもやさしい、オーガニックコットン

メイド・イン・アースではオーガニックコットン製品を製造する際に、通常施される化学薬剤による加工処理をしていません。漂白はもちろん染色もしないため、コットンがもともと含んでいる油分をそのままに、とびきりの柔らかさを保っています。そして、温かくやさしい肌触りは、一度使うと病みつきになるほど。油分によって適度に撥水してくれるので、洗濯してもしっとり長持ちしやすいという特徴もあります。

さらに、最近話題になっている “プラスチックゴミの問題” の解決策にもなるのが、オーガニックコットン。化学繊維の洋服は、洗濯するたびにたくさんの「マイクロファイバー」が流れ出てしまいます。そもそも自然素材であれば、流れても化学繊維と比べ分解が早いのです。

本当の意味で地球にやさしい、肌にやさしいオーガニックコットンを扱っているメイド・イン・アース。第10回となる今回は、代表の前田さんのダイベストメント・ストーリーをお届けます。


Q、地球にやさしい銀行に口座をつくろう(ダイベスト)と思ったきっかけは何でしょうか?

たくさんの人が良いことしたいって思っているなかで、どうしたらいいんだろう?って迷ってしまう人も多いと思います。一番簡単なのは、購買行動を変えるってこと。

同じタオルを買うとき、また洋服を買うときでも、化繊でなく天然を買う。天然繊維を買うなら、オーガニックのものを買う。その方が、社会や世界がもっと気持ちよく、もっと豊かになっていくと思うんですね。

自分の使うお金でどこを応援するか、どこを支えていくのか

口座を選ぶことも、これと一緒だなと思いました。A SEED JAPANさんのエコ貯金や、城南信用金庫の顧問・吉原毅さんの話を聞いたことがあって、自分たちがどこに預金をしているかで社会が動くってことは、前から意識はしていました。戦争や環境破壊にお金が回っていかないようにするってことは、とても大切なこと。

例えば「メイドインアースを買いました。でもどこにお金を預けているんだろう?」ってなったときに、そこでプツッと切れてしまう、そんな風にはしたくない。

お金を預けている口座は、お客さまとのコミュニケーションのためのツールのひとつ。やっぱり環境や地球のことを考えている、思いがあるところにしたい。

ただ、切り替えたいと思っても、僕たちみたいな小さな会社の場合、長い付き合いがあったり、融資があるというので、いきなりすべてをやめますっていうのは難しい。だから、まずは新しく口座をつくるところから始めました。

今まで銀行のことを調べたことはなかったけれど、今回を機にもっと意識したいなと思いましたし、今回宣言をしたのも、僕たちが発信することで、そういう意識を持つ人が増えることに貢献したいなと思って。

Q、今回はどの口座をどの銀行に替えたのですか?その銀行を選んだ理由も併せて教えてください。

ジャパンネット銀行と城南信用金庫に変えました。うちも兼ねてから再生可能エネルギーの利用を考えていたのですが、城南信用金庫さんは地域のエネルギー事業にも力を入れていると知って口座をつくりました。脱原発に毅然とした態度でいますし、環境に対する意識が高いことも選んだ理由です。ジャパンネットさんは、ネットバンクの先駆けで、迅速なサービスや手数料が手頃なのもあってつくりました。

Q、口座をつくるのに、どれくらいの時間を要しましたか?

必要書類の手配を含めないと、ジャパンネットさんはネット申し込みから開設までで、だいたい 1 週間。城南信用金庫さんは、窓口ですぐ開設できました。

Q、口座をつくるプロセスで特に難しいと感じたことはありますか?

書類を準備するのが大変だったので、働いている人にとってはそれが面倒かもしれません。

Q、銀行に伝えたいメッセージはありますか?

銀行のイメージって、規模感や知名度によるものがほとんどだと思うんですが、そういうものってどうしても外面のものになってしまうと思うんですね。

僕たちが預けたお金が、どういうかたちで社会に貢献できているか、それが銀行さんとしての社会貢献のかたち。みなさんからいただいたお金が、社会や製品をつくるお金になっていたり、会社をつくるお金になっていたりするわけですよね。

社会に貢献していないと企業は成り立たないわけじゃないですか。ということは、運用しているお金が、本当は社会に貢献していないといけないと思うんです。銀行さんは、みなさんから預かったお金を、どういうことに使ったらいいのか、真剣に考えて欲しい。

それと、いいところだけに使っているということだけを発信するのではなくって、僕たちの大切なお金がどんな風に使われているかを、きちんと情報開示して欲しいと思います。

僕たちは、ジャパンネット銀行や城南信用金庫さん以外にも他の銀行を使っていますが、多くの銀行さんが社会を良くする取り組みを、より一層、増やしていって欲しいなと思います。

あとは、振込手数料の安さやイメージばかりを宣伝しないでほしいと思いますし、それに惑わされない人が増えていって欲しいなって思います。これからは、応援したい銀行にお金が回るような社会になったらいいですよね。

Q、これから地球にやさしい銀行を選びたい方に向けて、メッセージをお願いします。

エシカル消費もそうですが、より気持ちがいいお金の流れを意識する人が、もっともっと増えて欲しいなと思います。そんな偉そうなことを言える立場ではないですが、お金はひとつの価値基準。そのお金が使われていくことで、社会がどんどんつくられていくってことですよね。

ものを買うこともそうだし、お金をどこに預けるかは意思表示の手段のひとつ。自己満足でもいいから、僕はここのものが好きだから、応援したいから選んでいるんだって、そのなんで選んでいるかの理由を、深く考えて明確にできる人がたくさん増えるといいなと思います。


前田 剛(まえだ つよし)

(株)チーム・オースリー 代表取締役社長
1962年横浜生まれ、国立育ち。(株)チーム・オースリー代表取締役。大学卒業後、広告の企画・制作に携わる。後、赤ちゃん市場を研究する会社を訪問した際に、一般的なコットンの栽培や製品化には、多くの化学的な工程がある実情を知り、オーガニックコットンの意義や魅力に惹かれ、ものづくりの工程の大切さに目覚める。1995年に、純オーガニックコットン専門ブランド「メイド・イン・アース」を夫婦で設立。生活に密接にかかわるコットン素材が、本来持っているふくよかな風合いを損なわないものづくりに徹底的にこだわる。また、和綿を育てるプロジェクト、カンボジア地雷原コットンプロジェクト、布ナプキンの普及活動なども手がける。2016年には、東京国際フォーラムでの第1回オーガニックライフスタイルEXPOに、メイド・イン・アース自由が丘店で、毎月第一土曜日に行っている、オーガニックマルシェ「くらしの天然市場」エリアを展開するなど、イベントにも力を入れている。

アースデイ東京理事、アースデイ東京監事、エコ雑貨協同組合監事を歴任。2016年4月より日本オーガニックコットン協会の理事に就任。

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