
ダイベストメント、世界で4700兆円を超える
化石燃料からのダイベストメント表明の運用資産総額は、初めて集計を行なった2014年時点では181機関520億ドルでした。 そこから10年もたたずして、2021年の時点で、なんと1,485機関39兆2,000億米ドルがダイベストメントされました。(調査方法)
世界の二大経済大国である米国と中国の2020年度の国内総生産は、それぞれ20.9兆ドルと14.7兆ドルという数字を踏まえると、いかに莫大な金額がダイベストメントされたのかが分かるかと思います。
ダイベストメントの成長率は、ますます加速しています。キャンペーン開始当初、3年間で181の機関投資家がダイベストメントを公式表明しましたが、2019〜2021年の3年間で新たに公式表明を行なった機関の数は485に上ります。
ここでカウントされた機関数は、公式表明されたダイベストメントのみです。市場シェアにおける化石燃料セクターの大幅な落ち込みを踏まえると、個人投資家はもちろんのこと、私たちが把握できた件数以上の機関投資家がダイベストメントしていることは明らかです。
誰が運動に参加を表明しているの?
投資撤退への取り組みを表明する機関数は今も増え続け、このムーブメントは社会に大きな影響を及ぼしています。
2018年に公表されたダイベストメント運動の最新レポートでは、化石燃料ダイベストメントに取り組む37ヵ国の機関が紹介されましたが、2021年には71カ国に広がっています。また、ダイベストメントに取り組む機関のうち、米国外に拠点を置く機関は、2014年にはわずか22%でしたが、2021年には69%に上昇、ムーブメントがグローバルに拡大していることを示しています。
宗教・慈善団体にも広がるダイベストメント
幅広い様々なな人々や、規模の大きい機関もダイベストメントに取り組むようになり、世界的な機関の参加が増加しています。
ここ数年、大手保険会社、年金基金、大規模大学基金に加え、宗教団体や慈善団体によるダイベストメントの取り組み件数も増えています。
特に慈善団体は、その取り組みを大幅に強化させています。初となる「ダイベスト・インベスト慈善ネットワーク(Divest-Invest Philanthropy)」が設立された2014年1月、17の財団がこのネットワークに加盟、総額およそ20億ドルを、すべての化石燃料から引き上げたうえ、各財団のポートフォリオの少なくとも5%を気候ソリューションに投資することを公式に表明しました。
2021年10月の時点で、資産総額1,250億ドル以上の192財団およびファミリー財団が、何らかの形でダイベストメントに取り組んでいます。