主役は市民。“一人でも”“どこでも”できる社会活動、それがダイベストメント

350 Japanチーム(2017年度)

350 Japan では、11月6日から「レッツ、ダイベスト!」キャンペーンを行います。お金の流れで環境問題を解決に導けることや、一人ひとりが口座を変えるという意思表示で銀行にアクションできることをたくさんの人に伝えるために、期間中に各地で複数のイベントを開催します。

今回は、350 Japan 中心メンバーである3人に、それぞれのダイベストパーソナルストーリーとキャンペーンにかける思いを語ってもらいました。


Q、今回はどの口座をどの銀行に替えたのですか?その銀行を選んだ理由も併せて教えてください。

シン:スタッフみんなでソニー銀行にしました。ソニー銀行は、化石燃料や原発関連会社への投資や融資の記録がないことに加え、事業運営のための電力消費を削減する目標や、CO2排出を100%オフセットする方針を立てています。そういった環境課題には、2008年から積極的に取り組んでいたし、利便性の面でも海外送金の機能も充実していました。あとは、銀行そのものだけでなく、親会社のソニーも環境に配慮していて、ずいぶん前から気候変動に取り組んでいたのも、銀行を換えた理由の一つです。

イアン僕は1個に集中させたくないと思ったので、貯めるお金用と使うお金用と二つ口座を持っています。貯める口座はイオン銀行の定期預金。イオン銀行はコンビニのATMでも使えたり、ネットサービスも充実しているからです。あと、イオンがグリーンピースのスーパーを対象にした調査で、サステナビリティに力を入れているとあったのと、地域に根付いたプロジェクトをやっているのをニュースで見たので、そういった社会貢献の印象が高いから口座を開きました。
使う用の銀行はソニー銀行。ソニー銀行は、口座登録後、毎週メールでサイトの使い方や口座の使い方を説明してくれます。あと、ポートフォリオのランキングもこまめにつくっているし、為替取引したい人はレートが良いので向いています。

まりえ:私はソニー銀行の他に、実家の近くの信用金庫にも口座を開きました。ここは地域のプロジェクトに力を入れています。地元の経済が伸び悩んでいるところなので、コミュニティへ貢献する活動に感銘を受け、預金用につくりました。

Q、口座をつくるのに、どれくらいの時間を要しましたか?

イアン:ソニー銀行の口座は、申し込みはすぐできました。日本在住・日本国籍だから、必要最低限の情報だけですぐ開設できました。イオン銀行もソニー銀行も、カードの受け取りがうまくいけば最短で2週間です。


まりえ:ネット上での申し込みは15分、忙しい時期だったのもあって、カードの受け取るまでで1ヶ月。私はガス・水道・電気の公共料金を大手銀行の口座から引き落としするようにしていたから、新しい口座をメインバンクとして活用できるまでに、電話して申請書を提出するまで約2ヶ月かかりました。


シン:僕は国籍がオーストラリアだから、ネット上ではすぐ申請が完了できない。まずネットで申し込んで申請書が送られるまで1週間、必要資料を集めてそれを送って、通るまで2週間。申請して通るまでの手続きは、1ヶ月強くらいでした。

Q、口座をつくるプロセスの中で特に難しいと感じたことはありますか?

イアン:ネット銀行が初めてだったから、両方ともワンタイムパスワードをつくるまでの作業が慣れなかったけど、1回やったら大丈夫でした。他はそこまで難しいとは感じなかったですが、強いて言うなら、取引番号、ソニー会員番号、ログインパスワード、ワンタイムパスワードがあって、それぞれ覚えるのに少し時間がかりました。けど慣れたら超便利!


まりえ:特にはなかったです。公共料金の手続きの作業が多くて少し大変だったくらい。


シン:手続きでは、サイトにあるプロセスをきちんと確認すれば簡単だと思います。どの銀行が自分にあっているかを選ぶのが、一番大変かもしれません。


イアン:僕みたいな気が早い人や文字を読むのが嫌いな人は、友達と一緒にやっちゃうと楽しいかも。そういうコミュニケーションの中でやると、友達と確認しながらできるし。


シン:350で口座開設を簡単にできるような、わかりやすい資料も作っています。45社の「地球にやさしい銀行」リストと銀行の詳細情報を簡略化した「地球にやさしい銀行」ファクトシートを出しているので、ネット銀行、信用金庫、地方銀行の違いもそれでわかるようになっています。(「レッツ、ダイベスト!」キャンペーンの公式ウェブサイト www.letsdivest.jp からキャンペーンに参加登録すれば、これらの情報資料を無料でゲットできます!) 全体的なプロセスを説明している「ダイベストメント・ガイド」の中では、ダイベストのための3ステップを提案しています。「選ぶ」「のりかえる」「報告する」。実際に選んだあとは、それぞれの銀行のプロセスに沿って申請しないといけないのですが、そういった資料があることで、口座を変えたい人にとって、少しでもサポートになればと思っています。また、乗り換えようと思っている人たちで交流できる場も11月日より12月12日までの「レッツ、ダイベスト!」月間中に企画しています。

Q、今回のキャンペーンにかける思いを教えてください!

まりえ:最終的な目標を、12月12日までに100人・5団体のダイベストメントを集めることにしています。公の場でダイベストメントの人数を発表するのは、今回初めてなので、これでどんな風に影響が出るのかが楽しみです。


イアン:気候変動に対して取れるアクションとして、再エネを選んだり、自転車に乗ったり、ベジタリアンになったりしている人はたくさんいると思います。今回のキャンペーンを通して、そこに「銀行選び」を選択肢として入れてもらうことだと思っています。 あと、レッツ、ダイベスト!は、リーダーシップをとって活動してくれるボランティアの人たちが中心に発信しています。そうやって主体的に活動したり、発信したりする人を一人でも多く増やしたいです。 今の消費者って選択が押し付けられているようなところもあると思っていて、そういう消費には意思が通っていないんですよね。「意志ある選択」をするっていう意識を持つ人が増えたら、社会はもっと変わると思ってます。だから今回のキャンペーンを通して、「意思ある銀行えらび」をみなさんに伝えたいと思っています。


シン:ダイベストメントのメッセージは、キャッチコピーにもある「口座を変えれば社会を変えられる」。一人の行動は小さく感じるかもしれないけれど、多くの人が同じ選択や行動をすることで、企業の行動も変えられるし、それによって社会的要請が変われば経済全体にも影響を及ぼすことができます。 それにはまず、市民の人々の行動で変えることが必要です。消費者である市民が求めることによって、企業のサービスや商品が変わるから、充分企業をリードできる。市民にはそういった役割があります。今回の「レッツ、ダイベスト!キャンペーン」では、「地球にやさしい銀行」へと口座を乗り換えた人を集めることで、大手銀行に「気候変動に配慮した銀行業務を行ってもらいたい」と発信して行きたいです。 アメリカでは、大学、キリスト教などの宗教団体や財団から始まり、モラルに反する行動は止めるべきだという考えのもと、ダイベストメントが広まりました。つまり、気候変動問題の解決に向けて、問題の最大の要因である化石燃料関連企業へ投資や融資し続けることは未来を脅かす行為と同様だと言う考え方です。気候変動だけでなく、核兵器などの軍事関係、タバコなどに投資しないという方針を決めている財団があったりもします。そういった市民の要求があることで、ビジネスにおいてもそのニーズに合ったサービスを提供するようになりました。

シン:年金基金に加入しているカルフォルニア州の公務員は、お金がどこに使われているかの意識を強く持っています。職員としても意見を出す必要があるとされている。イギリスでは、環境省職員年金も職員の要請でダイベストメントしています。欧州議会も、温暖化対策としてヨーロッパ20か国の年金運用で気候変動に対応すべきと議決されました。市民のムーブメントがあったからこそ法律レベルでも取り組んでいて、そういった意識や考えはすでにメインストリームになっています。日本でもそういった動きが必要です。


まりえ:投資家や企業にアウトリーチしている団体は多いけれど、市民レベルに啓発するところは少ない印象です。そこで私たちは、「市民が気にしているんですよ」っていうことを企業に伝える役割を担っていると思っています。


イアン:そう、僕らがやっているのは「個人」にフォーカスすることなんですよね。自分でもできるっていうのを知ってもらうことが重要で、ボランティアの人たちにプロジェクトの中心を担ってもらっているのも、そこに繋がっています。
シン:そして市民の人たちのダイベストメントを通じて「こういう行動をとってもらいたい」というメッセージを企業に発信するのも、350の役目ということです。


まりえ:銀行のCSRの担当者の方と話した時に、企業側としても、小さくても署名などの運動によって社会貢献活動が進めやすくなるから助かるとの話がありました。銀行前や株主総会でやったアクションも、報道されたり表には出てなくても、社内では話題に上がっているようですし、市民の人たちの直接的なアクションは、そういうところにちゃんと響いています。

Q、今回のキャンペーンで具体的に実現したいことは?

イアン:ボランティアの人が主体的にリードしてイベントを開催しているのは、ここの団体としても初めてだし、日本でもそんなにないことだと思います。これは、社会を変えることへの自信や、何か行動したいという意識が芽生えてきた証拠だと思っていて、これが活動へのハードルを下げることに繋がったら良いなと思います。活動を広めるのは3人ではできないこと。組織は人で成り立っています。銀行でも企業でも、ダイベストメントをする決定権を持っている人たちの行動を変化させるのも人。そういう影響を与えられる人を育てたいし、そこからポジティブな循環が生み出せていったら良いなと思います。


シン:それに加えて今回は、団体がダイベストメントを表明するのも活動としては初めてのこと。それによって社会や環境を考えている他の企業や団体が行動に移す、一つのきっかけにもなったら嬉しいです。団体が集まって参加することで、社会への影響力も高まります。今後は、全国的に展開している企業さんとの提携も強めていきたいです。


まりえ:2018年は、石炭にも焦点を当てていくのですが、今回の100人にダイベストしてもらうことから、石炭火力を止める運動にも協力していきたいです。 政府や企業に訴えるのも一つの手なんですけれど、お金を石炭火力発電所に融資しているのも銀行なので、大元である資金源を一緒に止めるのをみなさんと一緒にやりたいと考えています。そういったものから、ローカルに根ざした活動にも参加していきたい。

シン:ダイベストメントは、どこでもできる活動で、東京でも地方でもできます。現在石炭火力発電所が建設されようとしている問題があって、それらの計画を進める事業者へ働きかけるための一つの手段にもなるのがダイベストメントです。私たちの活動は、市民運動の新しい選択肢を広げる役目もあります。


まりえ:350の理念は「ムーブメントをつくる」ことなんですよね。海外の事例では、オーストラリアのグレートバリアリーフの近くで石炭採掘所がつくられる問題から運動が盛り上がりました。社会的な運動をしていくのに有効な手段として、海外での実績もあるので、それを生かしていけたら良いですよね。


シン:実際に預金大国と言われている日本は、預金者にパワーがある。だからこそ影響力があります。発電所をつくるためには資金が必要。今は市民電力をつくろうという運動も出てきていて、資金源も市民レベルでつくろうという運動もある。 「My bank My future」に署名してくれた、およそ1,000人の想定預金額は、総額33億円。それは発電所も建設できるほどの金額です。ヨーロッパでは発電所の所有者が市民であることが、もはや一般的になってきています。350としてもそういった活動も一緒に応援していきたいです。


古野真

350.org 日本事務所代表 1983年1月31日、千葉県生まれ。5歳で両親とともにオーストラリアのブリスベン市に移住。2006年クイーンズランド大学社会科学・政治学部卒業。2011年オーストラリア国立大学気候変動修士課程卒業。オーストラリア政府の気候変動省(当時)に勤務。温暖化対策の国際連携を担当するなど環境問題に携わっていた。その後、様々なNGO活動や援助関係のプロジェクトに関わり、パナマ、サモア、東チモール、カンボジアをわたって国際開発、地球環境問題、気候変動対策に取り組む。2015年4月、気候変動問題に取り組む国際環境NGO「350.org」の日本担当となり、日本初の事務所を立ち上げた。 2016年5月に、気候変動問題に取り組む人物として、朝日新聞に(2016年5月10日記事掲載)に紹介されている。(注1)著書には、「東チモール民主共和国における地域密着型の気候変動適応策(Community-Based Adaptation to Climate Change in Timor-Leste)」(2014年、LAP Lambert Academic Publishing社)などがある。

清水=ピュー・イアン(Ian Shimizu-Pughe)

350.org日本事務所フィールドオーガナイザー 1992年1月24日、大阪府生まれ東京都育ち。日本人の母と英国出身の父を持つ。東京都世田谷区のセント・メリーズ・インターナショナル・スクールを経て、国際基督教大学(ICU)を卒業。子供の頃より自然環境に強い興味を示し 、高校時代の夏休みは沖縄の石垣島や宮古島でシュノーケルインストラクターとしてアルバイトに励んだ。ICU 在学時に環境問題に本格的な関心を持ち始め、学外で環境問題に関わる活動に携わるようになる。古野真との出会いをきっかけに、2015年9月より国際環境 NGO 「350.org」日本事務所のフィールドオーガナイザーとして勤務を開始。現在もオーガナイザーとして活動中。

棚尾真理絵

350.org日本事務所広報担当 1988年4月13日、愛知県生まれ。5歳から14歳までの間、父親の仕事の関係でカナダのブリティッシュコロンビア州と米国のウェストバージニア州にて育つ。2011年4月南山大学外国語学部英米学科卒業。在学中には2010年愛知県名古屋市で開催された、生物多様性条約第10回締約国会議(CBD・COP10)に向けた学生による政策提言活動に取り組む。卒業後、毎日新聞社ワシントンDC支局の現地スタッフとして勤務。政治、経済、外交など多岐にわたる分野におけるリサーチを行う。White House Correspondents’ Association(ホワイトハウス記者クラブ)に所属。2015年11月NGO「350.org」の日本事務所の広報担当となり、東京に移転。現在も350.org Japan広報担当として活動中。オンラインマガジンオルタナS寄稿者。

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